チャットモンチー ワンマン@Zepp Osaka(2日目)

生命力生命力
(2007/10/24)
チャットモンチー

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今をトキめく「普通の女の子」スリーピースバンド……
……なんつーけど、聴けば聴くほど普通じゃないチャットモンチーさん。

三人が書き上げる詩の世界の透明さはいわずもがな、その世界を更に磨きあげて、思わず目を惹かれてしまうピッカピカ☆、の宝物に仕上げてるのは、やっぱりえっちゃんの歌声なんだなあと、生で聞きながら改めて感動です。

私めの個人的事情として、スリーピースバンドはあんまり得意じゃない、女声はあまり好みに入らないってのがあるんですけど(フォーピース、なるたけ鍵盤希望、さらにホーンが入ってたらちょー好き←ブラバン出身者だから?)、チャットモンチーは平気なんすよね。スリーピースの「力技で押しちゃうぜ!」的感じがまったく感じられない。まあ、力で押せるような色合いのバンドさんでは決してないんだけど、かといって聞いてて全然耳さびしくない。物足りなさがない。

あと、声がかなり好き。
やっぱ、えっちゃんのあの声だからよね、という結論に達するのです。

えっちゃんの声のすばらしさ。結構太めに出されてるリズム隊に負けないボリューム。初聴きなのに、歌詞がちゃんと理解できる素直さ、感情の豊かさ。何より声にたがわないあのかわゆらしさ(生初見時はこれが一番衝撃!それまでビジュアル知らんかったし)。

ボーカルがメロディメーカーなのに係わらず、歌詞を3人で(むしろあっこちゃんとくみこちゃんの割合が高い)書いているから、3人が同等に作品の話を出来るとこもいいです。MC時はえっちゃんむしろ控えめ。あれがいい。同性からの支持が高いのは、多分こういうところもあるかと。鼻につかないというか。

「世界が終わる夜に」前の、あっこちゃんのMCが非常に印象的です。
「徳島から東京に出てきて、一番驚いたのが人身事故の多さ」「人身事故、って言われても東京の人、なんとも思ってないような、むしろ遅れるわー(怒)っていう感じで」「ひとひとり死んでるねんで!って、凄い衝撃で・・・・・・」
「・・・そんな事があった日に書きました、聞いてください」
で、出てきた歌が
「私が神様だったら/こんな世界は作らなかった」。あっこちゃん・・・(涙)。


客層は男子多めの6:4ぐらい?私の身長で、若干前見ずらい。そして圧倒的に若い!
前の男の子が丸刈りの男子野球部員みたいな子で弟を彷彿とさせ、ものすごい和みました。ちなみに男の子らの話してる内容は「ここからやったら見えるかなー」「最近スカートはかへんよなー(ちなみにあまり深い意味はなさそうな口調)」「えっちゃん側、人いっぱいやな!(あっこちゃん側にいたので)」「ここやったら目、合うかな?」「Tシャツ着て、めっちゃ気合入ってる!楽しみ!」とか。かわいいわー。男の子でも目ぇ合うとかあわへんとか気にするねんや(笑)。
これがアキバ系風体の人なら「キモーン」と思っただろうけど、普通に爽やか系やったので微笑ましかったです。かわゆすかわゆす。

1曲目忘れたけど、2曲目は「MAKE UP! MAKE UP!」。
えっちゃんが右手ぷらぷら動かしてリズムとりながら歌うのがかわいいのなんの(親父)。
アップテンポにも係わらず周りが棒立ちやったんでもう少し前に行けばよかったかなーと。ちょうど真ん中めにいたので、なんていうか境界線でした。ここから前盛り上がりゾーン、ここから後ろ様子見ゾーンてな感じ。でも、3曲目の「とび魚のバタフライ」で、ようやく回りも腕上げ組も増え、ちょっと安心。フェスの時と様子が違ったのは、ライブハウス不慣れなお客様多数だったからかな。ちなみに前述の高校球児くんは、最初は周りを見回しながら、1テンポ遅れた感じで腕を上げ下ろししたり、振ってみたりしてたんですけど、最後にはすっかりなれた様子でぴょんぴょんはねてたのが、また微笑ましかったです。わかるわーなんかその雰囲気。初めていくアーティストって、最初周り伺うよね、どうしても・・・・・・。

で、多分4曲目がいきなりの「親知らず」。
もうこの曲は問答無用に名曲ですから!もっと世の中に認知されればいいのに。結婚式の両親花束贈呈ではぜひこの曲を。わしが選曲係りやったらもう絶対これを推すー!そして会場中を感涙のるつぼに叩き込むのにー!会場中泣け!てなもんで。
・・・・・・さすがに一人で号泣するのはなんだかなー(それもライブ前半)だったので堪えましたが、たまらんく涙腺を刺激しますねん、この曲。「まじめすぎる父親と」っていう一文で一気にぐってくる。別にうちの父親、まじめじゃないけど(笑)。子供がちゃんと親を正しく見つめてるところがわかる一文。で最後の「この悲しみがあなたの悲しみであること」っていうのが切ない。まあ、結婚式でかけるなら「この悲しみ」は「あの悲しみ」に代えたいところですが。閑話休題

「橙」でえっちゃんが歌えてなかったり(がーっ!と声が高くなる後半が全然駄目やった。風邪っぽい雰囲気。)、前の男子が目の前ちらついて見づらかったり(これは自己責任)でしたけれども、二時間楽しかったー。名盤「生命力」の曲はオール演奏。「女子たちに明日はない」も、「手のなるほうへ」も聞けた。

アンコールの、くみこちゃんの生クラリネット・えっちゃんとあっこちゃんの連弾による「素直」がまたよくってですね。座って聞かせてくれるんなら、あの構成で2時間ぐらいやって欲しい。クラリネットの単音、久しぶりに聞いた。これも私の事情ですが、単純に、特に木管楽器のソロ音を聞くと、記憶が学生時代に直結するんで胸がキュンキュンするんですよね。懐かしくて懐かしくて。
それでいてね、アンコール2曲目、くみこちゃんがピアニカに持ち替えてご披露してくださった曲が「サラバ青春」だった日にゃあ、二次号泣注意報発生ですよ。
なんだろうなあこれ。えっちゃんのどこまでも響く伸びやかな声が「ロングトーンのラッパの音」と歌う反則技。えっちゃんの声そのものが、耳に入った瞬間に「あの頃の」ざわめきに摩り替わる感じ。記憶のはじっこの、一番やわらかいレアなとこに、えっちゃんの声はするすると何の障害もなく抵抗もなく沁みこんできて、じんわりと浸透して、感情をゆっくりと継ぎ足していく。うっかりするとすぐ溢れそうになって、目頭熱っ!みたいな。泣いちゃったよあたい!みたいな。
「大人」なんで、あまり素直に泣けないんですけど。大人になっちゃったんだなあ。それもさびしい。

メモ程度にするつもりやったのに、結局ながながとなってしまった。まあいいや。
私が好きなチャットモンチーは、「バスロマンス」の「♪あなたを幸せにするからね」っていう、もうこの歌詞に尽きるなあと思った次第。この一文があるだけで、私の中では他の数多あるガールズバンド・ガールズボーカリストとは一線を画するのです(まあ、後はえっちゃんの声と)。
強いよ、四国っこ。いつまでも強くいてください。