the HIATUS@なんばhatch(7/16)

「取り戻したいものがたくさんあるんだ」

昨日はこの呟きに全部持ってかれちゃいました。どんな曲よりもこの呟きのインパクトが強すぎて、ライブを思い出そうとするとこの台詞がずっとぐるぐる脳みそ回ります。この人、この2〜3年で何を、どれぐらいなくしたんでしょうね。胸が痛くなってしまったよ。

ただ、その発言に象徴されるような、あんだけのぐちゃぐちゃとした顛末の先に出てきたもんが、こんなにキラキラと、音色ひとつひとつが光って見えるような美しい世界だったって、何それ本当になんていうか、細美武志という人は伝説を生身で生きている人ですね。こんな絵に描いたような人が現代社会にまだ生きてんだな。その生き様を生で見られることの貴重さは神様に感謝。いないいない、こんな人いないわマジで。こんなに物語的な人。いろんな意味で目が離せん。引き合わせてくれたももにも感謝感謝。

the HIATUSの音楽をとりあえず一言で表せって言われたら、どんなに無難だとかしょーもないと言われても、やっぱり「美しいなあ」という言葉しか浮かばない。一言で言うならば、本当に本当に、どこまでも「美しい」音と曲。アルバムの作品を聴いた時にも感じたことだったけど、ライブみてますますその思いが強くなりました。

ピアノが加わったとか、そういう具体的なことももちろんあるんだけれども、ライブの最中、本当に一瞬、細美さんから「青い炎」が見えた気がしたんです。もうこんなこという自分キモイの百も承知でいうけど(笑)、少しうつむき加減にギター鳴らしてる細美さんの後頭部あたり、上半身を青い炎が包んでいるように見えて、「うわ、浄化だよ浄化!」とかそんな宗教臭いことを思った一瞬があったんだ。「おお、この人はいまこの場で歌うことで浄化してはる!」って。歌うことで身体の中のいらないものをどんどん吐き出しているような感じがした。

これってすごい変化だと思うんです。エルレの時の細見さんはごうごうと、それこそ(特に最後のほうは)自分の身体や神経を疲弊させて音を出し、歌を歌ってた。エルレでは同じ炎でも情熱的にオレンジだったり赤に見えてました(ちなみにグッズデザインでもよく使われてましたよね、炎モチーフ)。その様子が私にはとても痛々しく見えることが多々あったので、だからこそステージの様子とは反比例して熱狂的に盛り上がるフロアの様子がめちゃくちゃ気持ち悪く、エルレをみるといつも「なんか違う…」と首を傾げてももを苦笑させていたわけです。どうしてあの痛々しさにこの人等は気づかないんだろうと勝手に腹を立てていたわけです。だから私自身はエルレを聴いていても、たぶん没頭とか熱狂までには至らなかったんだろうとも思う。あの全てを音楽に委ねてるって言うたら聞こえはいいけど、何もかも全てを無条件に「預けている」ような馴れ馴れしいフロアの空間が苦手だった。

けれども今は、細美さん自体は曲を書き、歌い、ギターをかき鳴らすっていう同じ作業をしていながら、全然印象が違ってみえた。その象徴が「青い炎」っていう形として見えた気がした。持っているエネルギーをすべて放射して、自分ですら燃やし尽くしてしまうような圧倒的な明るさと熱量をもった「赤い炎」じゃなくって、静かに、それでも確実な熱量を保ちながら、長時間燃え続けることのできる「青い炎」。

歌うこと、演奏することが彼にとってカタルシスになったのかなって。観客にとってのそれじゃなくって、歌ってるご本人にとってのカタルシス。自浄作業。

いやいや、そりゃもちろん血反吐はく思いで音楽を向き合っているのは今も昔も一緒だとは思うんです。そういう姿勢がなくなったというわけじゃなく、少なくともライブという場所が、音楽や歌というものが、細美さんにとって「敵」じゃなくなったのかなって。丸くなったってことじゃなくって、なんていうかなあ、人に利用される事がなくなったっていうか。利用じゃないな、「消費」。細美さん自身の思いや歌や声や情熱といったものを、人に消費されるんじゃなくって、自分で消費できるようになったのだと。

多分、the HIATUSエルレほどの熱狂は得られないだろうと思います。ほそみんが自分の身を差し出してまで焚きつけていた熱の高さを求めていた層には、若干the HIATUSは物足りなく感じるんだろう。

けれども、また違った共感は得られる。もっと客観的で、同じように平熱の体温のまま、自分で自分の事をなんとかしようと世の中でもがいている人からの「共感」は今までより多く得られるんでないでしょうか。私はエルレより今のバンドで表現されている世界のが好きです。世の中の逆風をまっこうから受けてたってやるぜい!と握り拳作る熱さじゃなくって、逆風の中にいて、時々風に負けて目を細めたりしながらも、じっくりと風の流れてくる方向を見つめているような、そんなしなやかな強さを感じる今の音世界がすごい好き。音を聴いているとじーんと身体の真ん中がゆっくり盛り上がってくるような、じわじわと伝わってくる青い熱。



十年以上やってきたものを止める勇気や、そういう結末にならざるを得なかった過程の苦しさは、本当にたまらんかっただろうと思います。なにがどう彼の回りから去っていったのかなんて憶測の域は出ないし、そんなの表に出す人たちじゃなかったけど、ごたついていたときの動向やバンドの病み具合や、休止後の他メンバーの動きを見ていたら、なんとなーく、うっすら分かった気になるじゃないですか、察するじゃないですか。離婚したカップルの一方が、間髪空けずに他の誰かと一緒にいたりして、もう一方がすっかり病んだ表情でどんより目の前におったら、8割の人はピンとくるじゃないですか?そういう空気を感じていたからこそ、誰もが「細美さん、歌うのやめたりしないよねえ…」と不安に思ったり、「ああ、エルレはきっと戻ってくる」とかたくなに信じてみたかったりしたかったと思うんです。

けど昨日ハイエイタス見て、なんかもう、安心したといいますか、嬉しくなったというか。

きっと彼は宣言どうり、色々なものをこれから取り戻していくんでしょう。けれどもそれはうっかり壊れてしまった過去の破片じゃなくって、まだ見えないし聞こえてこないけれども、きっと彼の生きる世界のどこかで鳴っているはずの音を構成する音符のひとつひとつじゃないかと。だから「取り戻す」という言葉は的確じゃなくって、言うなれば新しいパズルのピースを彼は順番に手に入れるはずです。そりゃもう確実に。

それがさびしい事か嬉しいことかっていうのは個々それぞれの思いもあるでしょうが、一度壊れてしまったものを目の前にして傷ついていた人が、再びこんな新しい世界を構築して、その上に「取り戻したい」と宣言したことの力強さに、なんかもう、ひどく勇気付けられました。
人って、取り戻せることが出来るんだなあって。
エルレが16年後に復活!とかでもいいかなあって、それなんてユニコーンって感じんですが、そんな思いに。ほそみんはきっと当分は、大丈夫。むしろ次が楽しみだと。



ライブで見たハイエイタスは、アルバムの印象より相当ゴツゴツしてて、生っぽかったから、フロアのノリ自体は意外にいつもどおり。あ、けどちょろっと大人になったかな?みたいな。イメージとして。

ステージ上の年齢層も高くなってたけれども、その布陣が、なんかほそみんを中心においた視点的にはなんだか安心感があってよかったです。いやー、大人が細美さんの隣にいる安心感ってなんなのでしょうね。超おかん的発想w 細美さんも遺憾なく末っ子気質を全面に出して、なんかもーかわいくってしゃあなかったー!ハイエイタスはみんな末っ子らしいけどさー(ももちゃん情報)。末っ子ラブ!

つか、隣のウエノさんがでかっ!(笑)。

あまり予備知識なく行ったものだから、ベースがウエノさんだっていう知識しかなくって、伝説を目の前に見ちゃろ♪って浮かれて、いつもの定位置(すなわち下手よりのセンター)ぐらいにいたんですけど、そこからはウエノさんと細美さんしか見えなくって。で、ほそみん、続いてウエノさんが出てきたとき、私の目がおかしくなったのかとおもった。超遠近感www ウエノさん180超えなのに比べて、細美さん、多分私とあんまりかわんないんだよね。170あるかないかじゃないかな。今までお隣がうぶさんやったからちっちゃいなんて感じたことなかったけど、今回はまっすぐ君に届く声で伝えたいと思う。そのサイズ比率にたまらなく萌★え★た★!!!←どこに届けたいんだっての、こんな叫び(笑)。 あー、大好き!

つかもう、本当にウエノさんと堀江さんがかっこよすぎてかっこよすぎて、何度(胸の中で)「ぎゃーす!今のMOE!!」と叫んだことだか。こんな叫びがうっかりほそみんに届いたら、またしても彼をノイローゼにしてしまう気がするけれどもまあ脳内なので許してちょ。
超絶萌えたのが、本編ラストかな?多分「メイプルツリー」だと思うんですけど、最初の部分ってギターだけなんですよね。そん時に音のないウエノさんが何してたかって、自分の楽器を立て抱きにして、そのまま歌ってるほそみんを時折ちらりちらり上目遣いで見ながら(180センチ超えの人が170ほどの人をどうやって上目遣いで見るんだとかは言わない)、2回ほどベースをぎゅっとしてネックに顔をうずめていたとゆー……

私、今なに見てんだろ?とひたすらウエノさんを凝視してしまいました。ウエノさんそれ反則。反則ですから。諸先輩方に教えていただきたい、あれは仕様なんでしょうか、教えて神様!!

…とかなんとか言いつつ、一応、一緒に見た友の間での定説は
「きっとウエノさんは何も考えていなくって」
「なおかつベースはあの形の方が持つのに楽に違いない(チーン)」

あっそーかー、そうなのか、勝手に萌えキャラに仕立ててごめんなさい、ウエノさん(反省の色なし)。

あと、「リトルオデッセイ」(というタイトルでピアノ伴奏だけの曲を書く細美武志という人は、なんてロマンチストなんだろうとつくづく思う)終わりで、歌いきったほそみんに対し、めちゃくちゃ満面の笑顔で(´∀`*)b.。:*+゜゜+*:.。.*:+☆!!と何度も親指立てていた堀江さんもかわいすぎでした。
あとあと、柏倉さんがトーのドラムの人だって後で知って、もっとちゃんと見ればよかったと死にたくなりました。トーのドラムは素晴らしいよね!インスト万歳!マサくんに関しては、今から勉強します。



結論。9月のZEPPが楽しみすぎです。
あと、the HIATUSはたくさんの人に聴いて欲しいと素直に思う。エルレ苦手だった人は尚更に。
人は何があっても前進できるんだなあ。明けない夜はないのだ。
音楽を続けてくれてありがとうございます、細美さん。
…これだけ長文の感想が書きたくなってしまうほどの衝撃があったライブでした。