映画「Love Letter」〜大阪出身なのに関西弁喋ると更にうさんくささ三割増しな豊川悦司がエロい

手持ちのソフトはVHSの為もう見られないので、WOWOW岩井俊二監督特集をすかさず録画。10何年少しぶりに拝見。もうまったく色あせなんてしてない美しい画面と、今でも全然新しい物語と演出。北海道の樹ちゃんと、神戸の博子さんを同じ女優さんが演じているところから醸し出されるファンタジックさ、奇妙さ、ねじれが最後までストーリーをぐいぐいと引っ張る。かたる力の強さ。今もなお大好きすぎた。

酒井美紀ちゃんのつっけんどな物言い、柏原くんのぶっきらぼうな横顔。壁ドンもアゴクイもなんもないけど、名前という仕掛けだけで胸キュンだった。あまずっぱすぎて(けれども彼の『不在』を知っているから余計に)切なくて、だからラストシーンはあれだけでもう十分に救われる。言葉はなくってなんなら名前すら呼び合ってないのに、ラスト「彼の気持ち(=Love Letter)が届いた」とわかる映像の豊かさが、もう気持ちよすぎる。

見てるこっちが大人になったからだと思うけれども、10何年ぶりに見たら、博子さんを思う秋葉さんのしんどさにも目がいってしまった。山に登りたくない、っていう博子を優しく説得する秋葉さんがめっちゃ大人。イケメン。マジイケメン。羨ましい。関西弁が押しつけがましくてウザい瞬間もあるけれども、それでもイケメン認定。ガラス工房でのキスシーン、20年前からあんなにエロかったのでしょうか。なにかあそこだけ違う映画だった。エロい。巻き戻してもう一回見た、なんであんなにエロいのか。豊川悦司だからか、そうか。納得。

岩井俊二監督の「不在」の描き方と、そこからの「再生」を見つめる対象との距離感が好きだな、とふと思った。人が消えるということ、そこからもう一度はじめるひとを、岩井監督は少し離れたところからじーっとみてる、ただ見てる。消えた瞬間も驚きのこえひとつ立てず、ただ静かに静かに見てる。その息のひそやかさと柔らかさが、もうとてもとても大好きです。